誘電体バリア放電を用いたメタン改質・水素生成

 ガスの改質,分解に優れている誘電体バリア放電(DBD)を用いてメタンガスから水素を生成する研究を行っています。

 水素は新しいエネルギーキャリアとして期待されている一方で,従来の水素生成方法である水蒸気改質では多大なエネルギーを要することや,貯蔵や輸送する際に高圧かつ極低温状態が必要なことが普及の弊害になっています。私たちの研究グループでは,メタンガスを改質する機構と燃料電池を自動車などに搭載することを想定し,DBDによるメタンガス改質の高効率化を目指しています。この方法では小さいエネルギーで水素を生成でき,水素ではなくメタンガスを燃料とするため,燃料の搭載に特別な環境を必要としません。そのため,これまで普及の妨げとなっていた問題を解決することができると考えています。

 DBDによって生成される高いエネルギーを持った電子とメタンガスの反応によって水素が生成されます。主な化学反応式は以下の通りです。

CH4 + e → C + 2H2

 水素を生成するためにはメタンのC-H結合を切り離す必要がありますが,そのためには高いエネルギーを持った電子が必要となります。より高い効率でこの反応を実現するためにどのような反応器が適切か,高いエネルギーを持った電子を生成するためにナノ秒パルス電源の使用とその最適化を行っています。

 実際に,反応器の工夫によって約60倍の水素濃度が得られ,電源を変えることで生成効率は約2倍に向上しました。

リアクタの外観

DBDの様子