本研究室では,高木教授のもと,小中学生を対象とした科学教室や体験学習の実施,高校生へのエネルギー教育,また,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)コースの指導など,エネルギー環境学習全般に積極的に関わっています。エネルギー環境学習教材を配布しておりますので,ご興味がある方は,ダウンロードしていただき,ご活用ください。


エネルギー環境学習と科学の顕在化

世界では今,SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け,自らで考え,行動する人材を育てるESD(持続可能な開発のための教育)が求められています。特にエネルギー・環境問題についての体験に基づく学習は,将来,子供達が持続可能な社会を考える素地を作ることにつながります。また, 日常生活や自然の中に潜んでいる科学(サイエンス)を顕在化させることも,科学的な視野や考え方を育む上で,大変重要となります。これらは,多くの教育機関の力リキュラムに導入されようとしています。

エネルギー環境学習のネットワーク構築

エネルギー環境学習は様々な場所で,様々な方法で実施されています。しかし,バラバラな学習では成果が不明瞭となり,効率が上がりません。そこで,多様な団体や機関が連携することで,より多くの児童・生徒に学習機会を与えることができるよう,岩手県内のエネルギー学習や科学教育に取り組む団体を中心に「エネルギー環境学習ネットワーク」を構築し,2005年から運用しました。これにより,多数の小・中学校,高等学校で,エネルギー・科学の体験型授業が毎年30 回以上,実施されています。これらは新聞記事やテレビ番組に取り上げられ,児童・生徒の学習に留まらず,多くの市民への情報発信にもつながっています。

児童・生徒の発達段階を踏まえた学習プログラム開発

効果的な学習のためには,子供達の発達段階に合わせた学習プログラムを準備することが必要です。エネルギー環境学習でも同様です。スウェーデンの環境学習プログラム「森のムッレ教室」は有名です。これは子供達がー 段ずつ階段を上がっていくようなプログラムで,6つのステップに目標が設定されています。これを参考に,小学校のエネルギー・環境の学習項目を整理し,「親しんで」,「楽しんで」,「人間との関係に気づいて」,「自ら行動する」というプロセスからなる学習プログラムを開発して(矢巾東小学校型)、色々な機関での学習に活用しています。

体験型学習を可能にする教材の開発

エネルギー環境体験型学習では,学習目的に合致して,科学的視点を育成する教材が必要になります。このため,開発した学習プログラムで効果的な学びができるように,子供達の成長・発達段階にあわせて,体験型の教材を開発しました。加えて,教材の『学習指導要領』での位置付けがわかるように,教材活用集と工作教材集を作成しました。これらの冊子は岩手県内の小・中学校,全国のエネルギー 教育に取り組む学校・団体に配布し、活用しやすくしました。

地域連携を基調としたエネルギー学習の実践

開発した学習プログラムや教材は,活用されないと意味がありません。このため,「エネルギー環境学習ネットワーク」 で連携して,様々な地域で,教育実践を続けています。10年以上にわたり,毎年30回以上, 岩手県内の小中学校・高等学校・盛岡市子ども科学館・公民館,また福岡県春日南中学校, 福島県長瀬小学校,好間第二小学校,中央台東小学校などで,実践活動を続けています。これらの活動は新聞記事やテレビ番組などのメディアで数多く取り上げられました。

エネルギー教育の最優秀賞受賞など

本活動は,エネルギー学習や科学教育の裾野を拡げる成果につながっています。事業の採択では,エネルギー教育実践校(資源ェネルギー庁)に4校が,スーパーサイエンスハイスクール(SSH)(科学技術振興機構)に5校が選定されました。表彰として,エネルギー教育賞(日本電気協会・電気新聞)の最優秀賞 (小学校の部で2校,高校・高専の部で1校)と優秀賞(小学校の部で4校)がそれぞれ受賞され,実践報告賞(日本ェネルギー環境教育学会)を受けています。こうした実績によって,岩手県や東北地方がエネルギー環境学習の先進地として,全国から認識されています。

詳しくはこちら(その1,その2)をご覧下さい。


エネルギー環境学習工作教材集(改訂2版)