高電圧パルスを用いた食品の乾燥促進

 本研究では、高電圧パルス電界処理による食品のブランチングについて研究しています。

 ホウレンソウやワカメなどといった青果物は日持ちがしないため、生産量の4割程度が乾燥加工や冷凍加工を施された後に流通されています。こうした加工の前に“ブランチング”という内在性の酵素や微生物を不活性化し、食品の品質劣化を防ぐための処理が施されます。パルス電界処理によるブランチング技術は非加熱処理であるため、味や香り、栄養素などの熱に弱い有用な機能性成分を損なわずに、植物細胞に不可逆的に細胞を破壊することができることから乾燥加工の時間短縮効果が期待されています。

 青果物に対して投入エネルギーやパルス繰り返し率といった電気的パラメータを変化させ、図2のようにパルス電界処理を行うことで、乾燥速度に対して有効な条件を探しています。現在まで、ホウレンソウに電界処理を施すことにより、熱風乾燥の際の乾燥時間が4~5割程度短縮することを確認しています。

不可逆的細胞破壊のモデル図

電界処理の様子