パルス電界を用いたキノコ子実体形成促進

 高電圧印加による原木シイタケの生産量の増産,早期発生効果の検討および原木中菌糸への影響について研究しています。

 木材腐朽菌に分類されるシイタケなどの栽培食用キノコは,健康食材や機能性食品として需要が高まってきています。しかし,近年の高齢化や若者の農業離れにより,日本のキノコ生産者,生産量ともに減少傾向にあります。キノコの生産をより活発化させるためには,生産性の向上や効率的な生産ラインの確立が必要です。

 本研究チームでは,高電圧パルスパワーを原木シイタケ栽培へ応用することに着目しました。キノコ生産者の間では,雷が落ちるところにキノコがよく生えるといわれています。落雷の衝撃をパルスパワー技術によって再現し,シイタケのほだ木に電気刺激を与え,シイタケの発生を促進させようと試みています。我々は実際に,岩手県にある外山森林公園の内部の山間をお借りして,高電圧パルスパワー技術を用いて過去10年以上にわたり増産実験を行ってきました。収穫時期の直前に高電圧パルスパワー発生装置を山間の実験場に持ち込み,電気刺激をした区と,しない区に分け,収穫量などを比較して,過去のデータと照らし合わせ,フィードバックしながら研究しています。

 実際に,高電圧パルスパワーによる電気刺激により,原木シイタケの2年間における生産量は約1.3倍程度の増収効果を得ています。シイタケの品種によっては電気刺激をしていない区に比べ,収穫シーズンにおける早期発生効果も得ることができています。

菌床椎茸への電界印加

外山森林公園での実験


シイタケ原木への電界印加