本研究では、高電圧パルス電界を用いた酵素の立体構造に与える影響について研究しています。
酵素制御は、飲食品の腐敗や風味に直接関わっていることから、全ての飲食品において重要とされています。その制御方法としては熱処理などがありますが、熱に弱い香気成分や、 ビタミンCといった有用な機能性成分も損なわれてしまうことが問題となっています。
酵素に対してパルス電界を与え、静電気力によりその立体構造を変化することによって不活化が可能となります。これまで本研究では、酵素溶液中の酵素不活性化率は投入エネルギーやパルス繰り返し率、パルス幅と相関があることを確認し、ペルオキシダーゼに関しては最大70%程度の不活性化、α-アミラーゼに関しては最大80%程度の不活性化を可能とすることを確認しました。さらに酵素構造の取得により、これらの不活性化は酵素の構造変化に起因するものである事を確認しました。しかし、詳しいメカニズムや酵素の不活性化に対し有効な電気的パラメータは明らかにされていないため、研究を進めています。
また、応用研究として生酒中の酵素失活を行うことにより風味を保ちつつ流通を可能とする手法の検討など行っていました。
酒への電界印加試験